2008年度入試を振り返って(vol.75に掲載)

国公立大では、後期廃止の中で強気な出願が目立つ

センター試験の志願者数.受験者数は、18歳人口の減少の割には、減り幅が予測よりも少な目でした。また平均点は、2007年度がダウンしたのに比べて、文系で23点、理系で19点と大幅にアップしました。

その結果、受験生の強気の出願が目立ち、上位国公立大への挑戦者が増加。さらに、センター試験利用の難関私立大との併願が増え、私立大の志願者数を押し上げました。国公立大2次の志願者数が、2007年度に比してわずか750人しか減っていないことからも、受験生の強気な姿勢が読み取れます。センター試験の平均点がアップした時は受験生は強気になる傾向があり、私立大の難易度も上がりますから、私立専願の受験生も、気を引き締めて臨まなければなりません。

後期廃止の傾向も鮮明です。2008年度の国公立の募集学部は前期が523学部で2007年度に比べて4学部減。後期は466学部から451学部と15学部減、2007年度が4学部減でしたから、廃止の学部は11も増えています。後期の出願の流れも変わってきて、名古屋大理学部の後期廃止で、名古屋工業大、静岡大の後期理学系、京都大の廃止によって大阪大、神戸大などの志願者が増加しました。

セ試の成績によって2次試験が門前払いになる2段階選抜では、中後期日程で計5142人が不合格になりました(前年3204人)。予告したのは45大学117学部で、実施したのは26大学38学部。強気の出願のせいか2007年度より対象者が増加しました。

学部系統別にみた志願者数では、医・歯学系が5.8倍と最も高く、薬・看護系、人文・社会系、その他、教員養成系、理工、農・水産系の順でした。

推薦入試とAO入試では、後期の代わりとなるAO入試が増加傾向で、推薦入試は医学系の地域枠の拡大もあって横ばいです。しかし来年度以降は、AO入試では受験者の質をいかに確保するかが課題とされるようになったため、推薦枠が増える可能性があります。

センター試験利用入試で強まった東京志向

私立大入試での地区別の志願者数は、北海道・東北、中国・四国は対前年で減少しましたが、他は1.関東・甲信越、2.九州、3.関西、4.北陸・東海の順で増加しました。受験生の東京志向も強まりましたが、これは難関国立大の後期廃止や募集人員の大幅縮小によって、たとえば東大の併願校が早慶になるといったように、私立の大規模.ブランド大が併願校となり、その結果その周辺の大学の人気も上昇したことによります。

有力私大の「センター利用入試」の拡大もそれに一層拍車をかけました。センター試験利用入試は、慶應大では法学部と薬学部だけが導入しているだけですが、早稲田大では多くの学部が実施しています。志願者も2万2554人(前年1万9763人)で前年より2791人の増加、全志願者の18.0%に当たります。早慶に続く多くの大学でもこの傾向は顕著です。

首都圏のマーチ=「MARCH」(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)は、5大学とも志願者増になりました。一方、関西圏の「関関同立」(関西大、関西学院大、同志社大、立命館大)は、関西学院大と同志社大が増加したものの、関西大と立命館大は減らしました()。

首都圏のMARCHに続く、「旧制中学組」である学習院大(対前年指数104.7)、成蹊大(同114.4)、武蔵大(同185.4)も揃って志願者増。関西圏の「産近甲龍」では龍谷大(同93.0)を除き、京都産業大(同119.6)、近畿大(同112.2)、甲南大(同109.3)とも志願者を増やしました。

センター試験利用入試は高志願倍率

「MARCH」と「関関同立」9大学のうち、センター試験利用入試で志願者を減らしたのは、関西大(対前年指数97.6)のみで、他の8大学は増加、特に青山学院大(同146.1)と中央大(同142.9)は驚異の増加でした。

早慶と「MARCH」、「関関同立」、「旧制中学組」、「産近甲龍」の比較では、関西圏の大学のほうがやや元気がないようです。これは関西圏では以前から、センター試験利用入試や全学部統一入試、I・II期方式など、入試の多様化が積極的にはかられてきましたが、首都圏ではそうした取組が、比較的最近になって始められたことによるのかもしれません。

大学によっては、いくつかの方式を併せて導入している場合もみられますが、中でも、影響が大きいのが「センター試験利用入試」です。募集定員はさほど多くありませんが(中央大、立命館大、関西学院大などで全定員の20%台)、定員が少ないため志願倍率(=志願者数÷募集定員)はいきおい高くなります。もっとも国公立大の後期日程同様、併願者が多いですから実質倍率(=受験者数÷合格者数)を見ることが大切です。後期日程では前期合格者が受験しませんし、センター試験利用入試では他大学や一般入試との併願が多くなりますから合格辞退者が多くなります。見かけの高い倍率に驚く必要はありません。

この方式では、ブランド力、就職力などの付加価値のある大学が志願者を集めやすいのも特徴です。関西の大学が元気のないのは、関西圏経済が今一つ活性化されていないことがその一因かもしれません。