進路のヒント 《工学特集》 工学を楽しもう! 「いきいきとした学び空間」を創出する -法政大学理工学部-

写真 八名和夫先生

少ないからこそ注目される、工学分野でいま、女子であることはメリット

法政大学 理工学部長
八名 和夫 先生

08年に大きく改革

2007年度から始まる一連の工学部改組で、これまで専門分野の細分化にともない10学科と煩雑だった学科構成を、学問の本質的な体系に基づいて3学部構成としました。理工学部は基盤分野の4学科に集約し、高校生からも中身が見えやすくなりました。また、履修モデルをコース制で示し、学科間の横断的学びを可能とするなど、近年増加している境界領域についても学びやすいよう配慮しました。

機械工学科でロボットについて研究している学生が知能ロボットを開発するために応用情報工学科で人工知能について学ぶ。応用情報工学科で情報ネットワークを学ぶ学生がインターネットビジネスに興味をもち経営システム工学科でビジネスについて学ぶ。学習者を中心とした多様な学びのニーズに応えられるようにカリキュラムが組まれています。

近年の国際化に対応すべく英語教育にも力をいれています。生命科学部と共通で入学時全員に課されるTOEFL試験、1年次後期に課されるTOEIC試験によって能力別クラス編成を行うとともに、1クラス20名以下という徹底した少人数教育を導入した結果、工学部の時代に比べてTOEIC平均スコアの大きな改善が見られました。来年度からは短期スタディーアブロードプログラムをスタートさせ、英語圏での学習・生活を通じて英語のコミュニケーション能力を身につけさせたいと考えています。卒業生にはグローバルな活躍を期待しています。

新しい枠組みの下、理工学部、生命科学部ではカリキュラも一新して、生き生きとした学びが可能になるよう、教育支援体制を整えて教育の質を保証するとともに、教育効果の向上を目指して努力しているところです。

新たな教育ビジョンで

私たちが教育の中心に置いているのは、学習者中心の学び(Learnercentered education) という考え方です。最近の心理学の教えるところによると人は時間があっという間に過ぎてしまうような没入感覚を伴う楽しい経験を通してさまざまな技術や能力を高めていく、と言われています。このような積極的な学びの姿勢の実現に重要な役割を演ずるのは、(1)活動の目標がはっきりしていること、(2)即座にフィードバックが得られること、(3)取り組むべき課題が能力に均衡していること、であるとされます。

(3)の挑戦する際のレベルが能力に比べて適度に高いことの重要性は、言語習得の分野におけるクラッシェン※のインプット仮説でも指摘されています。学習者の能力をやや超える言語入力を与えることや、その入力を受け入れることを妨げる心理的障害である「情意フィルタ」を低くすることが言語運用能力の向上に重要とされるのです。このことは、長年、工学部の学生を教える中で私自身も実感してきたことです。とくに高学年の少人数ゼミでは、大学院生が学部4年生に能力をやや上回る刺激を日常的に与えると高い教育効果が得られます。

このような認識に基づいて、理工学部、生命科学部では、「いきいきとした学び空間」の創出を教育ビジョンとして掲げています。これは、個々の学生に日常的に最適な知的刺激を与え、それを適切にフィードバックすることで、一人ひとりに高い動機を与えられる環境を創り出そうというものです。そしてそれを具体化するためには以下のような取組を行うこととしています。

※Krashen Stephen . (1941年~)。第二言語習得の研究の第一人者とされる。

具体的な取組
[1]多様なメンター制度の導入。

高学年の成績優秀者(GPAの上位10%が目安)をチューターとし、大学院生のTAと連携して低学年の学生を指導する。また教員もオフィスアワー、ゼミなどを通して、学生個々に応じたきめ細かい目標設定を与えるとともに、学習上の相談にも応じるといった組織的で多様なメンタリングを実施する。

[2]GPA、出席管理・授業支援システムによって日常的にフィードバックを行う。

少なからず存在する学習意欲を喪失しドロップアウトする学生を出さないよう、既存の成績管理システム及びICカードによる出席管理システムに加えて、授業支援システムをベースに、個々の学生に学習進捗度等をきめ細かく適宜フィードバックするシステムを構築する。

この他インターンシップを行ったり、大学院レベルでは、海外の学会へ同行したりして(写真)、視野を広げる取り組みも行っています。さらに今回の改組と機を一にしてキャンパス整備も進み、2008年度に東館、2010年に北館が竣工し快適な教育・研究環境が実現します。研究、教育、国際化いずれの面でも一層の優れた評価が得られる理工学部にすべく、教職員一丸となって努力しているところです。