進路のヒント ススメ!理系特集

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大阪工業大学情報科学部で「情報プロフェッショナル」になろう! 情報通信技術が未来を開く 大阪工業大学 情報科学部 学部長 小堀研一先生

1996年の開設以来、多くのIT人材を社会に輩出してきた大阪工業大学情報科学部。私立大学として初めて情報分野のJABEE※1の認定を受けたプログラムを有することでも注目を集めています。特色ある教育プログラムや取組について、学部長の小堀研一先生にお話しいただきました。

情報通信技術は縁の下の力持ち

御堂筋通の街路樹に営巣したニホンミツバチの巣の写真
「人とロボットが強調・共生できる世界」をテーマに開発されたコミュニケーションロボット“ペネロ”。学生が自分たちの関心に従って自発的に行うプロジェクト活動のひとつ。この他にも学内の情報ナビゲーションシステムを発信するなど、さまざまなプロジェクト活動が盛んに行われている。

情報通信技術は前面にこそ出ていませんが、実は世の中のさまざまなものの中核を担い、支える技術です。携帯電話ひとつとっても、設計はコンピュータで行いますし、さまざまな機能を可能にしているのは組込みソフトウエアです。通信にはもちろんネットワークが必要です。その他の電化製品にも情報通信技術は欠かせませんし、銀行のATM、鉄道やバス、電気、水道などの社会基盤をコントロールして支えているのも情報通信技術です。

いまや情報通信技術なしに私たちの生活は成り立たないといっても過言ではないでしょう。また、これからの社会をよりよいものにできるかどうかも、この技術にかかっていると思います。

こうした流れを受けて、情報産業や製造業だけでなく、いたるところで情報通信技術者が求められています。ところが、現状ではまだまだ人材が足りません。私たちは情報通信技術の分野をリードしていく人材を育成するために、現場で役立つ専門的職業人、"情報プロフェッショナル"の養成を教育目標に掲げて、実践を重視した教育を行っています。

情報科学部の3つの柱

JABEE認定プログラムの「CSコース」と各学科の特長を生かした「総合コース」で学ぶ

情報科学部では2年次に、「CS(コンピュータサイエンス)コース」と、「総合コース」のいずれかを選択します。

各学科共通の「CSコース」は、国際水準を満たしていることを示すJABEEに認定されたカリキュラムに基づいています。専門性を高めたい人は、学科ごとに関心のある科目を自由に選択できる「総合コース」で学びます。

SE能力開発のためのスパイラル型情報教育

スパイラル型情報教育の図解

卒業生の多くがSE(システムエンジニア)として社会で活躍していることから、SEに必要な能力を段階的に高める教育プログラムを開発しました。文部科学省からも高い評価を受けています※2

具体的には、SEに必要な能力を3つに集約しています。事象を抽象化して、他と比較して説明できる能力(モデル化能力)、問題解決のための最適な方法を選択する能力(デザイン能力)、周りの人とコミュニケーションをとり、自ら行動・管理できる能力(業務遂行能力)の3つです。

年次ごとにそれぞれの能力について到達目標を設けていて、学生は学期末に自己点検シートで自分の到達度をチェックします。さらなるレベルアップをめざして、専門の教員のアドバイスを受けながらスパイラルアップして繰り返し学習することでSE能力を確実に養います。

目標を見定めるための導入教育、キャリア形成教育

入学してすぐの導入教育として用意しているのが、1クラス20人程度の『基礎ゼミナール』。アニメーションを制作して、大学祭で公開するとともに、プレゼンテーションを行ったゼミもあります。

本学は常に9割以上の就職率で、関西の私立大学でもトップクラスですが、来年度からはさらにキャリア形成教育に力を入れていきます。まず、これまで2年次対象だった『テクニカルライティング』という講義を1年次から受講できるようにします。2年次対象に、社会や会社、仕事について知る講義や、自発的な行動力やチャレンジ精神を養う講義も開講予定です。これらの積み重ねの上に、3年次で就職指導を含めた『情報ゼミ』(10人程度の少人数制)を受講することで、これまで以上に充実した切れ目のないカリキュラムが実現するわけです。

また、大学生活の適応や履修をサポートする『キャリアステップ』という講義も新しく開講する予定です。

※1 日本技術者教育認定機構の略称。中立の組織として、技術者教育プログラムが国際水準を満たしているかどうかの審査・認定を行う。2005年、大阪工業大学は情報分野では私立大学として初めて認定を受けた。

※2 「SE能力開発のためのスパイラル型情報教育」は、文部科学省の公募事業平成21年度「大学教育推進プログラム」に選定。

将来は?

コンピュータ科学科では、ソフトウエアとハードウエアについてバランスよく学ぶことを大切にしています。そのため、基盤ソフトウエアだけでなく、携帯電話や家電製品などの組込みソフトウエアを開発するエンジニア、電子機器などのハードウエア設計といった分野での活躍を期待しています。情報ネットワーク学科では、セキュリティを含めたネットワーク全体の構築、設計を行えるエンジニアを、情報システム学科では、電気、ガス、鉄道などのインフラ、社会基盤を情報技術で支えるエンジニアを、情報メディア学科では、画像や映像、音声などのコンピュータ処理技術を学ぶことで新たなデジタルコンテンツをデザインしたり、人に優しく使いやすいインタフェースを考えたりすることができるエンジニアを輩出することをめざしています。

いまの社会では、いたるところで情報通信技術が使われていて、今後もその開発に大きな期待が寄せられています。ですから、大学に入学する時に、やりたいことが明確に決まっている必要はありません。もっといえば、コンピュータが好きでなくても構わないのではないかと私は思っています。未来を支える情報通信技術者に一番大切なのは、好奇心だと思います。そのため、みなさんには興味を持ったものにはどんどん首をつっこんでほしい。そのうちに関心が絞られてくるでしょうし、やりたいことも見えてくるはずです。

本学では、学生プロジェクトをはじめとして、学生の興味を大切にする環境があります。大学で何かやってみたい人や、元気でやんちゃな部分を持った人に集まってもらえれば、もっともっとおもしろい活動が増えると思うので、みなさんに期待しています。

女子も自信を持って来てほしい

会社勤めをしていた頃、所属していた製品設計支援ソフトの開発グループに初めて女性社員が配属されました。彼女が開発したシステムを見て、これまで自分たちが開発してきたものと印象がガラリと変わったことにとても驚きました。一番の変化はインタフェースでした。使う人のことを考えた、いわば気配りのできたインタフェースだったのです。

他の自然科学は人間がなくても存在しますが、情報は人間が介在して初めて意味を持ちます。ですから、情報分野では、人間を知ることが他の分野よりもさらに大切なのです。こうした点において情報分野は、気配りや優しさのある女性に向いていると思っていますし、今後ますます女性が活躍できる分野だと確信しています。

Profile
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大阪工業大学
情報科学部 学部長

小堀 研一 先生

1951年生まれ。75年山梨大学大学院修士課程修了後、シャープ株式会社入社。製品設計支援システムの開発に従事。大阪府立大学で工学博士号を取得後、91年より大阪工業大学に奉職。現在、同大情報科学部長。兵庫県立豊岡高等学校出身。

※この記事は、大学ジャーナル2011年11月号(Vol.96)に掲載された当時のものです。