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子どもたちの心に寄り添える保育士と精神保健福祉士を養成 京都文教大学臨床心理学部臨床心理学科教授 今井皖弌先生

京都文教大学 臨床心理学部に誕生する「保育福祉支援コース」(2012年設置計画中)について聞く

臨床心理を学べる先駆的な存在として定評ある京都文教大学臨床心理学部に、来年度から保育士資格・精神保健福祉士の受験資格が取得できる「保育福祉支援コース」が新設されます。その特色やねらいについて、今井皖弌先生にお話しいただきました。

ゆるやかなコース制に、一味加味した、
子どもの心の問題に対応できる保育士ならびに精神保健福祉士養成コース

臨床心理学部臨床心理学科は、これまでの「生命・医療」「子ども・青年」「コミュニティ」「ユング心理学」「心理学総合」に加えて、2012年度から保育士資格あるいは精神保健福祉士の受験資格が取得できる「保育福祉支援コース」を新設します。従来からの5コースは、2年の後期からの選択で、3年次で変更もできるゆるやかなものですが、保育福祉支援コースは入学試験時に選択してもらうことになります。もちろん、関心のある科目については、他コースのものであっても受講はできます。

保育福祉支援コースは保育士養成コースと精神保健福祉士養成コースの二つに分かれます。保育士養成コースは新設ですが、同じ学園の京都文教短期大学には、わが国における臨床心理的支援教育の先駆けともいうべき幼児教育学科があって、臨床経験が豊富な教員も多いですから、教育内容および実習先や就職先については心配いりません。また精神保健福祉士に関しては、従来から国家資格の受験指定校でしたし、その養成プログラムについては実証済みです。

今なぜ、臨床心理学科において保育士養成を行うのか

幼保一体化や待機児童問題など、今後も保育士のニーズは高まり続けると予想されますが、親のニーズの多様化などによって、これまで以上にきめ細かな対応が求められることから、より質の高い保育士の養成も急務です。そこで本学では、これまで短期大学幼児教育学科で積み重ねてきた実践を土台に、臨床心理学について広く学び、子どもの心をこれまで以上に深く理解し、親も含めて心理社会的支援のできる保育士を養成しようと、新たなコースを設けることにしました。

人としての基礎が培われる大切な乳幼児期については、心理面からのアプローチが欠かせません。これまで臨床心理学部では、心理的支援の基礎についての深く幅広い学びを通じて、人間を理解し、その心を共感する能力や、カウンセリングなどの高度なコミュニケーション能力を身につけた卒業生を多数社会に輩出してきましたが、このような能力は保育現場の諸問題の解決にも必ず役立つはずと考えたのです。

臨床心理学を学び実践力を育てる

本学部の特徴は、カウンセリングや箱庭療法、対人援助技術などを学ぶ「臨床心理学実践演習」、心理実験や検査の方法を学ぶ「心理実験査定」、医療福祉・教育・司法など、実際に心理の専門職の方々が働く機関を訪問する「臨床観察実習」など、実験・実習の科目が豊富な点です。

また、地域連携活動として、3才未満の乳幼児を持つ地域の母親を訪問して、育児の手伝いやメンタルサポートなどの子育て支援も行っています。乳幼児虐待が社会的な問題となっていますが、その要因の一つは子育て環境と親を支援する体制の不備にあると考えられます。このような問題に対応するには心理社会的支援の方法を学ぶことが必要不可欠です。

今回の改革では、従来からのカリキュラムに、保育所、児童福祉施設、発達障害児支援施設における実習はもちろん、PBL(Project Based Learning) による演習、さらに社会で即戦力として活躍するための講座なども加える予定です。臨床心理学の専門知識を身につけた保育士を目指したいという人はもちろん、保育士には興味があるけれど、幅広い教養も身につけたいという人などにも、積極的にチャレンジしてほしいと思います。

卒業後の進路は?

保育士養成コースでは、こころのケアができる保育士、地域社会での子育て支援に対応できる保育士、情緒的な病気や発達障がいを持つ子どもや保護者へのメンタルケアや相談援助のできる保育士の育成をめざします。進路としては、保育所だけでなく、乳児院をはじめとして児童福祉施設、情緒的な病気や発達障がいを持つ子ども達の福祉サービス施設、また医療サービス機関等が考えられます。他にも、福祉職として公務員になることも可能ですし、母子生活支援施設や助産施設、児童館、学童クラブなどで活躍することも期待されます。

一方の柱である、精神保健福祉士の養成では、カウンセリングとソーシャルワークの素養を身につけ、福祉現場や医療現場で活躍できる人材および精神障がい者への生活支援や就労支援、家族支援のできる人材などの育成をめざします。卒業後の進路としては、こころの病や精神障がいを持つ人たちの福祉サービス施設や医療サービス機関、介護保険関連施設などが考えられますが、社会福祉主事の任用資格の取得や、臨床心理士の資格取得を目標に大学院進学をめざすこともできます。

これまで以上に幅広い可能性を用意した臨床心理学部に期待してください。