京都大学をめざす君たちに伝えたいこと 恒例、難関大学合格者座談会

2011年1月、これまでと少し趣向を変えた合格者座談会が行われました。
集まってくれたのは、昨春京都大学に合格した1回生7名。1回生のための『ポケットゼミ』で、土佐尚子学術情報メディアセンター教授の「メディアアート研究」を履修してきた学生たちです。
入学直後ではなく、憧れの大学で1年近くを学んだ先輩の、大学に対するフランクな声や、受験や高校時代の過ごし方についての客観的なアドバイスを聞いてみました。

私が京大をめざした理由

出席者

前田和輝さんの写真

前田 和輝

理学部2回生
(兵庫県立神戸高等学校出身)

前澤俊哉さんの写真

前澤 俊哉

理学部2回生
(奈良女子大学附属高等学校出身)

熊切俊祐さんの写真

熊切 俊祐

理学部2回生
(静岡県立浜松西高等学校出身)

鷲尾尚也さんの写真

鷲尾 尚也

工学部2回生
(甲陽学院高等学校出身)

尾崎達哉さんの写真

尾崎 達哉

経済学部2回生
(鈴鹿高等学校出身)

豊島絹世さんの写真

豊島 絹世

文学部2回生
(四天王寺高等学校出身)

日下千夏さんの写真

日下 千夏

文学部2回生
(兵庫県立長田高等学校出身)

前澤:僕は京大が第一志望で、現役で入学できました。志望校を決めたのは夏休み頃です。京大を選んだのは、家が奈良で近いこともありました。東大は進学振り分けがあるのでやめました。大学では自分の好きなことをやりたいと思ったので、中に入って単位のために勉強するのは嫌でしたから。

もともとは情報系に進もうと思っていましたが、(高校の)物理の先生の影響で、物理学科に進みたいと考えるようになりました。特に『シュレーディンガーの猫』を読んでとても興味を持ったので、量子力学に進もうと。

奈良女子大附属はSSHに指定されていましたが、活動は先生がやらせるというより、生徒主体で、クラブ活動みたいな感じでした。物理オリンピックでは予選を突破した仲間が一人いて、後はSSH指定校が集まる大会で優勝したり、個人的なグループがJSEC とか日本学生科学賞なんかで優勝したりしています。京大に進もうと思ったのは、SSHの先輩が代々京大理学部に進学していたこともあります。

熊切:僕は高校入学当初から京大志望でした。東大は東京という街がごちゃごちゃしているせいで好きになれませんでしたが、京都は、街並が好きでした。もともと理系科目が好きで、数学や理科に興味がありましたから、理学部を志望しました。

前田:僕は研究者になりたくて理学部に入学しました。性格的に研究者に向いているかな、と思いますし、文系科目より理系の方が得意だったこともあるかもしれません。研究者を目指すなら京大が一番かな、と3年の春に目標を決めました。

豊島:私は実家が奈良なので、家から一番近い国公立大学ということで京大を選びました。東京へ行くという選択肢はなかったですね。具体的に目標を定めたのは高校2年の夏休み頃です。私の場合、特にやりたいことが決まっていなかったので、経済や法学などに特化することなく、いろいろな分野を包括している文学部にしました。

日下: 京大を意識したのは高校1年の頃で、最終的に決めたのは3年の夏だったと思います。本を読むのが好きだったので、行くなら文学部かなと。

鷲尾:工学部の電気電子学科です。京大を真剣に考えたのは高校3年になってからですが、中学を受験する頃から漠然と考えていました。電気電子は就職率が一番高いと友だちが言っていたので選びました。

尾崎:僕は三重で私立の中高一貫校に通っていました。高校2年の頃から京大志望でした。文系でしたが数学が好きでしたから、それが活かせるということで経済学部に入りました。実際今は数学の勉強が多く、ついていけなくて困るくらいです。高校時代文系でしたから、数学ⅢCをやっていません。京大の経済学部に受かった人は、ぜひ春休みの間に数ⅢCをやっておいた方がいいと思います。やはり受験が終わっても、勉強は続けてほしいですね。

入る前、入った後の京大の印象

前澤:僕は入学前から情報をそれほど集めていたわけではありません。ただ、先生にも学生にも変わった人が多いということを聞いていましたが、入ってみて周りをみるとけっこう普通の人が多い(笑)。

熊切:僕も、思っていたより変な人が少なくて、けっこうみなカタいなあと感じました。規則なんて捻じ曲げてやるっていう人がたくさんいるのかと思ったら、意外とみんな遵守しているというか。授業もみんな出ていますしね。先生も真面目に講議をしています。変な人ばかりなのを期待していたんですが(笑)。授業中は黒板と会話しているような先生もいて、聞いていたイメージとはだいぶ違うという印象です。

前田:もう少し真面目な人が多いかなと思っていましたが、かなり不真面目な人もいます。何のために大学に入ったのかわからないような人は困りますよね。授業に来ない人もいますし。家で勉強しているならいいでしょうが、勉強もせず授業にも来ていない人はどうかと思います。

豊島:私は、自由な人が多いという印象を持っています。話してみるとすごく知識が豊富だったり、好奇心があって、授業だけでなく、いろいろなことに挑戦したり、興味の幅が広い人が多いなと感じます。

日下:先入観を持たずに大学へ入ったので、入学前とのギャップというのは感じませんが、豊島さんも言っていたように、教養が深いというか、いろいろなことについて考えている人が多いというのを感じます。同級生も先輩も。自分の視点を持っているのがすごいなって思います。

尾崎:入学前は、京大は天才が集まるところだと思っていましたが、それほどでもなかったですね(笑)。ただ大学へ来て遊んでいる人でも、「勉強したらきっとできるだろうな」と思わせる人は多いですね。

鷲尾:京都大学には変人が多いと聞いていて、自分は没個性的な存在になるのではないかと思っていましたが、意外とそうでもなくて、今ではクラスで少し浮いている感じさえあります。高校時代には変な同級生も多かったので、高校のつもりでいると逆にギャップを感じます。

前澤:僕も高校のときの方が変わった人が多かったですね。

前田:先生については、一般教養では、ご自分の研究分野と違うせいか、あまり熱が入っていないような先生もいらっしゃいます。専門科目では、特に理系の先生などは授業に関係ないことでも、自分の研究になるととても熱く語ってくれます。何かに夢中になっている姿はとても魅力的ですし、自分も研究者になりたいと思ったりします。そういう先生に出会えたことはよかったと思います。

前澤:理学部の話ですが、自主ゼミが頻繁に開かれていて、勉強に対して意識の高い人が集まります。興味があれば上回生向けの講義にもどんどん参加できます。

熊切:自主ゼミというのは、生徒が勝手に参考書などを持参してやるゼミですね。

前澤:今は参加していませんが、この春休みには流体力学を勉強しようと思っています。知り合いの何人かは今もやっています。最近理学部では、TAをつけてくれる自主ゼミがあるようですが、先生に頼むのは難しいかもしれません。

現在の心境は?

日下:前期は通学していましたが、後期からは下宿しています。下宿生活はすごく楽しいですね。まず京都という街がいいですし、大学が近いと何かと融通がききます。サークルなどで遅くなっても終電を気にしないで済みますし。

授業は興味のあるものしか取らずに、すべて真面目に出ています。ただ、今は毎日授業へ出るのが精一杯で、先のことについてはこれから考えたいと思います。

前田:今は下宿をしていますが、周りに人が少なくて落ち着けます。もともとうるさい環境が苦手でしたが、大学へ入るまでは周りに声が大きい人が結構いましたから。

鷲尾:僕も入ったときから下宿暮らしです。小学校4年から塾へ行って、ずっと勉強してきましたから、入学してしばらくは、多少、燃え尽き症候群というか、大学がゴールのような感じになっていましたが、後期からは真剣に授業に取り組んでいます。電気電子は留年率も高いようで、2回生からはかなり厳しくなると聞いています。

日下:京大は、どの分野でも研究の最先端に触れられるのがいい点ですね。資料なども揃っていますし、先生方もそれぞれの分野の中ですごく著名な方が集まっていて、その講義が聞けるのはとてもいいことだと思います。

熊切:京大はとても環境がよいと思っています。京都の街の良さもありますが、話せる仲間がいるのも素晴らしい。話したいことをみなわかってくれるし、僕も相手のいいたいことがわかりますから。

豊島:京都には、美術館などがたくさんあるのもいいです。私も授業やサークルの帰りによく行きます。

熊切:僕は、紅葉の季節に神社巡りをしましたよ。

ゼミや将来のこと

熊切:脳科学をテーマにしたゼミ形式の授業がありましたが、その先生のところは面白そうだなと思っています。海馬の研究です。このままいくと生物学科に進むことになるかもしれません。

今のところ将来は、研究者になりたいと思っていますが、ただ研究者として食べていけるかどうか、これからシビアに考えていかなければならないと思います。

前澤:僕もとりあえず研究者になるために勉強しておいて、なれるかなれないかは、どこかではっきりさせなければ、と思っています。

豊島:私は漠然と心理学を専攻したいと思っていますが、就職することを希望しています。

日下:将来の夢を探すために大学に入った感じですから、先のことはまだはっきりと決めていません。

鷲尾:僕は大学院の修士課程までいって、6年で卒業して就職しようと思っています。ただ、やはり就職は厳しいらしくて、商社などの入社試験に落ちた先輩の話なども聞きました。

尾崎:将来は、金融関連か政府機関に入る事を目指しています。特に日本銀行が理想です。こう考えるようになったのは、この春から入るゼミで先輩との関係作りをする中で、いろいろな話を聞いたからです。このゼミ出身者には日銀の方も多いですから。

受験はこう乗り切った!

豊島:私は進学校でしたから、学校でやっていることをきちんとやればいいと思って、塾には行かないと決めていました。でも周りはほとんど塾に行っていました。私は学年で5番以内に入るなどの目標を毎回決めて、それを励みに学校での勉強を大切にしてきました。

前澤:受験に向けて特別な勉強をしたのは、知り合いの個人塾で英作の過去問を添削してもらったのと、予備校の冬期講習に参加したぐらいで、後は自分でやりました。

日下:私は一浪しましたが、現役のときには予備校などへは行きませんでした。ところがいざ行ってみるととても新鮮でしたし、周りに一緒に頑張っている人がたくさんいるのがとても心強かったですね。模試の時には競争相手になりますが、弱気になった時に相談したり、一緒に気分転換したりできますから。

私の学年は浪人する人が多くて、半分くらいは浪人していました。私も現役の時は京大だけしか受験しないで、ダメならもう1年頑張ろうと思っていました。納得の上でなら私学に進学してもいいと思いますが、妥協しない姿勢も大事だと思います。

熊切:僕は、浪人時代の夏休みにはほとんど勉強せず、図書館でずっと本を読んでいましたが、それが今になって役に立っています。あまり勉強、勉強ではなく、直接受験に関係ないようなことに興味を持って、そのついでに勉強して京大に合格しました、という人に来てほしいですね。

日下:京大は二次試験の配点が大きいですが、センター試験も大切だと思います。特に文学部は京大の中でもセンターの配点が高い。私はセンターでいい点が取れたので、安心して願書が出せました。二次では得意だと思っていた国語が全然だめでしたが、苦手な数学が簡単で救われたたと思います。

前田:理学部に関しては、センターはいらないと思います。親はずいぶん、センターの勉強をしろと言いましたが、そんなに気にせずに二次を頑張ればいいと思います。

前澤:高得点を取りたいという人はやればいいと思いますが、自己満足に過ぎないような気もします。僕は国語で200点取ろうと頑張りましたが、やはり難しかった(笑)。

鷲尾:僕はセンターがあまりにもできなかったので、配点の大きい二次で、全科目満点を狙いにいきました。結果は7割くらいでしたが、工学部は二次の力の無い人が多いようですから、二次で取れたら逆転できるだろうと思っていました。

それから、工学部でも国語が必要になりましたが、工学部の受験者は、国語ではあまり点数が取れないと思いますから、二次対策では国語よりも他の科目に力を入れた方がいいのではないでしょうか。

ただ、「国語力」そのものは大切だと思います。実際、国語力のない人が多いとはよく聞きます。僕自身もレポートの書き方などがまだまだわからなくて、他の学部の人にアドバイスしてもらったりしています。

熊切:国語の点が高かったからといって、レポートがうまく書けるとは限らないんじゃないでしょうか。大事なのはコミュニケーション能力や表現力だと思います。国語を導入した意図もそういうことでしょう。

筆者の考えを読み取って、それを自分の言葉で噛み砕いて答案に書く作業がコミュニケーション力につながる。将来、世界に向けてて発信するチャンスもあるでしょうから、そういう力は身につけておかないといけないと思います。

尾崎:他の学部はわかりませんが、センター試験の配点は大きくもないし小さくもないので、その対策をしておいて損はないと思います。

二次試験はどの教科も大事ですが、特に大事なのは数学。理系だと最低点と最高点がかなり違うと思いますが、経済学部だとその差は30~40点です。去年の最高は560点ぐらいで最低は520点ほどです。数学は1問30点ぐらいですから、去年のように問題が簡単だと、それでつまずいたら、たとえば社会などは1問1点だから、いくら頑張ってもなかなか追いつけない。それなら数学の1問30点をきちんと取った方がいい。よく言われることですが、みんなが落とさないところは絶対落としてはダメです。

前澤:進学校に通っていない人でも、少し頑張れば京大には入れる、しかも予備校に行かずに独学で、ということを強調しておきたいです。僕の場合、数学ⅢC はほとんど独学でした。有機化学と無機化学もほぼ独学です。大学受験は参考書が充実していて、しかも安いから、予備校へお金を払うよりも安上がりです。どんな参考書がいいかの情報をきちんと自分で集められれば大丈夫だと思います。

おすすめは色々ありますが、英語なら英文解釈は『ポレポレ英文読解』、英作なら竹岡広信さんのもの。数学は『1対1対応の演習』、『理系数学 入試の核心』もいいですよ。化学は『化学Ⅰ・Ⅱ重要問題集』、『有機化学演習』。物理はいわゆるナン系、『難問題とその系統とその解き方』。こういう情報はネットにも出ていました。

尾崎:ネットについては、僕は成績が不振にならない限り、あまり見る必要はないと思います。僕は最初からずっと合格圏にいたので、自分のやり方を続けました。予備校も行ってません。ただ、自分の成績が上がらない時は、勉強のやり方が間違っている可能性もあるので、過去の先輩の勉強方法などを、いろいろと参考にするのはいいかもしれません。

後輩たちにアドバイス
高校時代に心がけたいこと

前澤:僕は、「勉強について語り合える仲間を作れ」と言いたいですね。

尾崎:競う仲間というのは必要です。僕の学校からは京大へ3人来ていますが、理系と文系で受ける科目も全然違いますが、それでも成績表など見せ合っていました。「負けたくない」という相手を作っておいて損はないと思います。

前澤:同感です。理系は僕一人で他は文系でしたが、その他に、他大学の医学部を目指している仲間と、「模試の成績どうだった」とか、「どんな参考書がいい」など情報交換をしていました。

前田:僕の場合は、ベストを尽くして、結果として相手よりできていたらうれしいし、負けていたら悔しいという感じで、競争しているという感覚はあまりなかったですね。

熊切:僕は、勉強は自分のためにするものだと思っているので、相手のことは関係ないと思います。

鷲尾:「最強の自分」を常にイメージすることだと思います。弱気になったらダメです。